インハウスな日々

ある企業内弁護士の備忘録です

法務

”人を熱烈に動かそうと思ったら”

*この記事は、裏法務系Advent Calender 2022の10日目のエントリーです。 *さむ(とむやむ)さんからバトンをつないでいただきました。 昨年は「表」の方で契約書審査依頼の「丸投げ」について書いてみました。今年はどうしよっかな~と思っている間に「表…

【法務】案件メモの管理方法集

【法務】案件メモの管理方法集 - Togetterhttps://togetter.com/li/1473481 2年近く前のものですが、案件メモの管理手法についてTwitterの知見をまとめていました。 備忘のため、ブログにも残しておきます。

なぜ契約書を読まない!?読めないのか!?読みたくないのか!?

※本投稿は,法務系 Advent Calendar 2021のエントリー記事です。 10ru(@oga10ru)さんからバトンをいただきました。「法務あるある」として語られることも多い,事業部門契約丸投げ問題について考えてみたいと思います。 契約書の中身も見ないで丸投げ,リス…

丸島 儀一『キヤノン特許部隊』(2002年、光文社新書)

2021年、27冊目。 少し古い本であり、「飲み屋で聞く上司の武勇伝」の趣きもないとはいえないが、良い本だった。キヤノン知財部のノンフィクションだが、法務が読んでも非常に面白い。 例えば、事業部門と議論する重要性を説く場面。 要するに本当に事業のた…

インハウスはつまらない?

結論:人による ……というと、話が終わってしまうので。 そもそも「インハウス」というのは、企業(自治体を含む場合もある。)で勤務する弁護士一般を指していうので、その仕事内容は所属する組織による。 一般的な法務部門に配属されれば、契約法務、コンプ…

おすすめできない法務の実務本

すごく役に立ったのに、オススメすることが憚られる本がある。 ある分野でトラブルが起き、法務へ相談が寄せられる。自社ではあまり経験のないトラブル。すぐに顧問の先生に連絡しよう。 とはいえ、丸投げはできない(先生の回答の適切さも全く評価できない…

本郷 貴裕『はじめてでも読みこなせる英文契約書』(2018年、明日香出版社)

英文契約書の入門書としては、かなりわかりやすい内容。 正直英文契約は「習うより慣れろ」なところもあると思うけれど、とはいえ「慣れることさえできない」という段階があるのも事実。 契約書や英文の構造を、ある種受験参考書のように解説しており、 契約…

NOというべき案件と報告

久々に法務ネタ。 某大手自動車メーカーで法務担当者が懲戒処分されたようで、少しTwitterでも話題になった*1。 平たく言うと嘘を塗り固めるために嘘をついた、という話。 法律どうこうというまえに常識で考えれば結論はわかりそうなものであるが……*2。 まず…

無資格法務とインハウスの住み分け

少し前の話になるが、 「インハウスは専門家であり、無資格法務は部門全体のリーダー、マネージャーである」 「インハウスは新しい/難しい法的問題に取り組」む、「無資格法務は、経営の意思決定に関与し、部門の方向性を決め、リソースを効率的に活用(育成)…

契約審査業務は結局ヒトのもの

色々感じたところもあり、 どれだけ契約審査にAIが使われるようになろうとも、社内外の交渉は人がやるわけで、そういう意味で法務の仕事はなくならないだろうとは思ってる と呟いた。 法務の仕事、というのは契約審査業務を指しており、要するに契約周りの仕…

向いていなければインハウスになればいい

今日のつぶやきからメモ。・たまーに「事務所が向いていなければインハウスになればいい」的な言説に触れるのだけれど、民間企業をセーフティネットか何かと勘違いするのはやめていただきたい。 ・というか、セーフティネットとして舐めきった態度でインハウ…

その回答、メールでするか?電話でするか?

1.はじめに簡単な質問をメールでもらったとします。メールの送り主は「一見さん」。どんな人なのかわかりません。とはいえ、メールに必要な事項は不足なく書かれており、追加の確認は不要そうです。 少し確認作業をしてさあ回答、ということになったときその…

法務の小技集

過去記事を整理しました。 適宜追加していきます。 第1 必要な資質のようなもの 法務に求められる「人当たり」 - インハウスな日々 第2 ちゃっちゃと仕事をするために 1.依頼が来る 2.事案の内容を把握する (1) ヒアリング (2) 方針を決定する (3) 依頼者の…

納期の伸ばし方

法務に限らず、仕事は納期に追われるもの。 かの、手塚治虫も「傑作は、締切から生まれる」という名言を残したとか。そして編集者からの催促攻めにあったとか。いやあ、納期ってほんといいもんですね*1。 冗談はさておき。仕事術的な本を読むと、必ずと言っ…

法務(インハウス)になる前に読んておきたかった本

インハウスとして働き始める前にこの本を読んでおきたかった…という本を2冊紹介します。1.大石哲之『コンサル一年目が学ぶこと』(2013年、ディスカバートゥエンティワン)コンサル〜とありますが、本書が目指しているのは社会人に求められる普遍的なスキル…

法務に求められる「人当たり」

何気なく以下のようなTweetをしたところ、思いのほか反応があり… 法務に必要な人当たりのよさって・世間話ができる・今更どうしようもないことを責めない・わかりやすさ優先で説明する・次に何がしたらいいか示すくらいので十分評価されるレベルになる気がす…

ちゃんと調べる前に(忘れがちな前処理)

社内をふらふらしてると取っ掛かりが見えないような相談を持ちかけられることもしばしば…。 そんなときの対処方法をば*1。 1.Googleに聞く 馬鹿にできない方法。 もちろん、ひっかかってくる情報のレベルは玉石混交もイイトコだが、手がかりになりそうな法令…

依頼者が求める答え

依頼者(≠依頼部署)が法務に求めていることは、実はバラエティに富んでいる 。 依頼者の真の動機を把握しておくことは、仕事をすすめるうえでプラスになれどマイナスになることはないのでは。 1.純粋に法的な結論を求めている ある論点について、法的な検討結…

なぜ法務は断言することを求めるか?

Twitterにて、誠実な弁護士であればAあるいはBと評価される可能性もある場合、望む結論になるために取りうる方策までは伝えるが、それ以上の断言は難しい、という呟きに接した*1。 それはそうあるべきだと思うが、なぜ企業の中の人間が断言を求めるか、二言…

無駄なラリー

契約書ネタばかりですが、最近思っていることをつらつらと。 無駄なラリーを減らすことってもっと意識してもいいんじゃないでしょうか、というのがこの記事のテーマです。 先日も少し書きましたが、契約交渉の無駄なやり取りを減らすことって双方にとってwin…

修正を提案するなら理由もつけてくれ

契約書の修正というと、本文でコメントするかWordのコメント機能を使うか問題とか、エクセルで契約書作るな問題とか、「絶対に修正できない契約書」問題とか、色々あると思いますが……。何よりも問題だと思うのが、修正理由をつけずに修正提案をしてくるパタ…

ミスったときに怒られない方法

大変後ろ向きな話題ですが…失敗してしまったときにどうすれば怒られないか、整理してみます。 ①謝罪 謝ります。②ミスを過小報告しない ミスの内容は正確に報告します。過小報告したくなるのはやまやまですが、バレたときにダメージ2倍になります。③リカバリ…

上山浩・若松牧「準委任契約の誤解を解きほぐす-システム開発契約を題材に-」

上山浩・若松牧「準委任契約の誤解を解きほぐす-システム開発契約を題材に-」 知財管理2020年5月号。以下のURLから内容を見れます。感謝。 https://www.hibiyapark.net/topics/report/2079.html

なぜ改正民法に対応していない契約書が示されるか

備忘メモです。 なぜ、2020年4月1日は来ているのに、相手方から改正民法に対応していない契約書案がでてくるのか。そもそも、改正民法に対応していない契約書を結ぶリスクは ①当該契約に関して何らかのトラブルが生じ ②そのトラブルが改正内容に関するトラブ…

契約書修正コメントの実務

企業と企業が契約内容について交渉する場合、いきなり法務同士が顔を突き合わせることはまずありません。 大抵の場合は契約書本文に修正履歴をつけて修正し、Word(一太郎を使っている法務部は皆無であろう)のコメント機能か【】を使って修正の理由や趣旨を…

身元保証に思うこと

目前に迫った民法改正で、身元保証契約も見直しを迫られている(すでに時期的に間に合わないところも多そうなので、「迫られていた」が正しいのかもしれない)。 改正内容の詳細については、今更紹介するまでもないことだろうし、巷に溢れる文献に当たるほう…

佐々木常夫『部下を定時に帰す仕事術』(WAVE出版、2013年)

2020年7冊目。東レ㈱の管理部門出身の著者が、毎日18時に帰るために実践していた仕事の方法論をまとめた著者。管理系の部門におられた方ということもあってか、法務の仕事に通じる部分も多い。 「相手が何を求めているか確認してから仕事に取り組め」「口頭…

契約書レビューを修習でやってほしかった、とはあまり思わない

久しぶりに仕事のない土曜日のお昼過ぎ、契約書レビューを修習でやってほしかった、という趣旨のツイートが流れてきました。僕が修習生だったときは、確か民弁の集合で触った(本当にこの表現がぴったしくる程度に触っただけです)記憶があります。契約書レ…

筬島・島田他「メーカー取引の法律実務 Q&A」(商事法務、2020年)

結論からいうと、メーカーの法務担当者であれば購入する価値がある。大いにオススメしたい。本書は「メーカー取引のさまざまな場面で生じうる実務的な法律問題をアトランダムに拾い上げ、回答を試みるものである」(はしがきより)。 契約書のレビューや、コ…

コロナウイルスと法務

ここ2週間ほどはニュースを見る余裕もあまりなかったが、コロナウイルスに関する情報は仕事をしてても入ってくる。 というか、仕事に関わってきそうな勢いである。「中国出張は控えるように」くらいだとまだ平和なもので、ここからしばらく時間がたてば「発…