インハウスな日々

ある企業内弁護士の備忘録です

契約審査業務は結局ヒトのもの

色々感じたところもあり、

どれだけ契約審査にAIが使われるようになろうとも、社内外の交渉は人がやるわけで、そういう意味で法務の仕事はなくならないだろうとは思ってる

と呟いた。

法務の仕事、というのは契約審査業務を指しており、要するに契約周りの仕事がなくなることは無いだろうということが言いたかったこと。

別に深く考えたわけでもないが、結局現状のAIは契約審査を補助するツールに過ぎず、しばらく人の仕事が奪われることがなさそう、というのがいくつかのサービスを使ってみた率直な感想である*1

契約が人と人の(広い意味で)取引条件を決めるものであるうちは、交渉は人が行うわけで、そこに法律が関わる限り契約審査業務は法務の仕事であり続けるのではなかろうか。社内外の…という社内を含む表現になっているのは、社内の事業部門を説得することも法務の仕事であり、そこには自社にとってのリスク評価も含まれるはずだから、それはAIに代替される仕事ではないだろう、という趣旨である(AIが自社の置かれた状況や社内のアレコレ、取引相手との関係、等を加味した判断ができるようになっていない限りは)。

契約交渉の場で「AIがこう言ってるので」なんてたわけたことを抜かす他社の担当者にでくわすことも、当分はなさそうだ*2

*1:この部分は、そもそも契約審査業務をどのように捉えるかにもよるのかもしれない。例えば、単に契約書の字面を自社に有利なように調整する業務を契約審査業務というのであればそれはAIに代替されうるものだろう。

*2:そのうちでくわすことになりそうだとも感じている。