法務に求められる「人当たり」
何気なく以下のようなTweetをしたところ、思いのほか反応があり…
法務に必要な人当たりのよさって
— みみずく (@ahoaho1818) 2021年2月4日
・世間話ができる
・今更どうしようもないことを責めない
・わかりやすさ優先で説明する
・次に何がしたらいいか示す
くらいので十分評価されるレベルになる気がするんだけどどうでしょう…
先輩方からもこのようなコメントをいただくなどしました。
人当たりの良さとして
— QB被害者対策弁護団団員ronnor (@ahowota) 2021年2月4日
・キモがられない(話し方、清潔感等)
・いつでもアベイラブル
・相談してくれてありがとう感を前面に出す(面倒くさい感を表に出さない)
・「結局のところどうなのか」をわかりやすく示す
・ヤバイ事実を隠していたことが後で分かっても怒らない
辺りも追加して下さい! #エアリプ
(自分が言いたいことについてではなく)相手が知りたいことについて話す、だと思ってまする。
— Genichi Kataoka (@katax) 2021年2月4日
せっかくなので、法務に求められる人当たりのよさ(コミュニケーション力といいかえていいかもしれません。)って何?ってことを考えてみたいと思います*1。
大きく、コミュニケーションを取りたいと思ってもらえるようにすることと、実際のコミュニケーション時の注意点に分けられるように思います。
1.コミュニケーションの前段階
(1) 身だしなみ
・キモがられない(話し方・清潔感等)
当たり前のことといえば当たり前の事ですが。まれに多くこういう方が(略)。
(2) 雰囲気作り
・いつでもアベイラブル
もう少し具体的には、「話しかけてくんな」「電話かけてくんな」オーラを出さないことでしょうか。
・相談してくれてありがとう感を全面に出す
「これ、法務に聞くことかわかんないんだけど…」的な相談、非常にありがたいです。聞いてくれないと法務マターかどうかも判断できないので。「いえ、ありがとうございます!」と言っちゃうようにしています。
(3) 距離感
・世間話ができる
これは個人的には心がけていることなのですが、後ろ向けな案件の打ち合わせほど明るく冗談を交えるようにしています。やりたくない打ち合わせなのに、雰囲気まで暗くなったらいい仕事になりようがないですし*2。
2.コミュニケーション時の立ち振る舞い
(1) コミュニケーションの取り方
・今更どうしようもないことで事業部門を責めない
過去の振り返りは、済んだことは仕方ないとして再発防止のためにどうするか?というようなスタンスで行わないと建設的な話にならないと思います*3。
・ヤバい事実を隠していたことが後でわかっても怒らない
爆弾を隠してたとかすると怒りたくなるのが人間なのですが、怒ってしまうともっと情報が出てこなくなってしまいます。事件は現場で起きてるので、現場からのインプットがなくなれば結局困ったことになり弊害のほうが大きいですよね。
(2) コミュニケーションの内容
・わかりやすさ優先で説明する
時と場合によりけりですが、多少法的に正確性を欠いてわかりやすい説明をすることが大切だと思います。具体例を示すのもありかと。
・相手が求めていることを示す
「次になにしたらいいの?」「どんなリスクがあるの?」という質問に「法的にはこうです」とだけ回答するのは、司法試験の答案で当てはめがないような状態だと思います。問われたら問われたことに答えられているか?自信がなければ「答えになってますか?」と聞いてしまってもいいように思います。*4。
同時に、法務として伝えるべきことをしっかりと伝えていることも大事ですね。*5
・嘘はつかない
わからんことはわからん、ダメなことはダメというべきです(後で仕事が増えるだけです)。このあたりを嫌味なくいうこともコミュニケーション力・人当たりの良さのなせるわざなのかも知れませんが。ただ、これは技術だと思っています。案件を止める敵ではなく、一緒に進める味方だと思ってもらうことができれば、そんなに難しいことではないのではないかと。
色々考えてみましたが、結局社内のお友達が増えればいろいろうまく回ります。飲み会に誘ってもらえるような関係がたくさんできるととても楽しいです!(早くコロナおさまってください)
*1:このあたりのことは、瀧川英雄『スキルアップのための企業法務のセオリー ー実務の基礎とルールを学ぶー』あたりに言及があるかな、と思ってちらっと調べてみました。「コミュニケーション力」が法務に必要な資質として言及されており(19頁)、ミーティング時の心得や交渉のポイントには言及があったものの、コミュニケーション力に焦点を当てた記載はなさそうでした。
*2:修習時代、弁護団会議を見学させていただいたことがあるのですが、とても暗く重い状態なのに冗談が飛び交っていたのが印象的でした。後で聞いたところ、前向きに仕事ができるようにするためにあえてそういう雰囲気作りをしているとのことで、参考にさせていただいています。
*3:結構、やっちゃう人いますよね…
*4:あてはめに必要な事実を拾い集めるためにもコミュニケーション力は必要ですね。
*5:ronnor先生からご指摘いただき、追記いたしました。ご指摘は『「相手が知りたいことについて話そう」という意識で対応すると失敗するので、「相手は自分が知りたいことについて(だけ)話してもらっていると錯覚しているが、それと同時に法務として必要なことは漏れなく伝えている」状態を目指すべき』というものでしたが、これはかなり難しそうにも思います。精進いたします。