インハウスな日々

ある企業内弁護士の備忘録です

身元保証に思うこと

目前に迫った民法改正で、身元保証契約も見直しを迫られている(すでに時期的に間に合わないところも多そうなので、「迫られていた」が正しいのかもしれない)。

改正内容の詳細については、今更紹介するまでもないことだろうし、巷に溢れる文献に当たるほうが正確な情報を提供してくれるし、ここでは触れない。

身元保証ニ関スル法律(身元保証法)に規定はないものの、改正民法の保証に関する規定が適用(ないしは類推適用)される結果、身元保証契約にあたっても極度額を定める必要が出てくることになる。

で、個人的にはそもそも「身元保証契約なんていらないんじゃないの?」と思っていたところであった。

身元保証契約を締結したとて、身元保証法の「縛り」があるから実効性には疑問があるし、そもそも本人ではなく保証人に請求することがある会社って少ないのではないか?という感覚があったからだ。後者については、(この表現はおそらく適切ではないが)「世間体」を気にする会社という組織柄もあってのことなのだけど。

もちろん、保証人をとることが一定の抑止力にはなりうるところで、talaw(@titikariko)先生の

身元保証契約をする意味は、損害の補填というよりは従業員の不正防止という点が強いと思います

 というコメントはその通りだと思った。

個人的には、抑止力のメリットは大きくないように思うが、評価の分かれるところかもしれない。

また、向井蘭(@r_mukai)先生は実際に請求することを狙うのではなく、「身元保証人になってくれる人がいるかどうか」を判断する材料に使うということを紹介されていた。

 私の経験上身元保証の履行を請求したのは現金を扱う仕事をしている従業員です。現金の魔力に負けてしまう人がいます。また経理財務経験者のごく一部に横領窃盗癖のある方がいて、このような方は身元保証を出せません。親族が愛想を尽かしているからです。一定範囲の人については有用かなとも思います。

 これも会社によって判断はかわりそうだけど、この趣旨で身元保証人をとる、ということもありうる結論だと思う。

Twitterをしていると色々な見解を知ることができる。特に法務は会社ごとに見ている景色が違うところがあるので、良い勉強になる。

何が言いたいかというと、Twitterは良いものだということ。