インハウスな日々

ある企業内弁護士の備忘録です

本郷 貴裕『はじめてでも読みこなせる英文契約書』(2018年、明日香出版社)

英文契約書の入門書としては、かなりわかりやすい内容。 正直英文契約は「習うより慣れろ」なところもあると思うけれど、とはいえ「慣れることさえできない」という段階があるのも事実。 契約書や英文の構造を、ある種受験参考書のように解説しており、 契約…

スティーヴン・ウィット(訳:関美和)『誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち 』(2018年、早川書房)

2021年23冊目。 今年読んだ本の中で(大した量読んでいませんが)最も面白かった。 音楽が、CDで売られていた時代から、タダで(違法に)手に入る時代を経て、月額1000円で手に入るようになるまでを、MP3を開発した技術者、大手レコード会社のトップ、CD工場…

森博嗣『つぼやきのテリーヌ』(2013年、講談社文庫)

2021年22冊目。 ベストセラー作家、森博嗣のエッセイ集。 ホーン?と思うエッセイから、なるほどなぁと思うエッセイまで。少しメモしておきたいエッセイもあった。 自分よりも上や下からの言葉を聞けない、というのは、つまりは防御だ。自分を守りたいという…

ペーター・ヴォールレーベン(訳:長谷川圭)『樹木たちの知られざる生活: 森林管理官が聴いた森の声 』(2018年、ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

2021年21冊目。 森林管理者の著者がその経験を語るエッセイ集。 ドイツで100万部を超えるベストセラーとのことで、なかなか面白かった。 でも、素人には書かれている内容がホンマなのかまるで判断つかんのよねぇ…それがまたいいのかもしれない。 意外とおす…

NOというべき案件と報告

久々に法務ネタ。 某大手自動車メーカーで法務担当者が懲戒処分されたようで、少しTwitterでも話題になった*1。 平たく言うと嘘を塗り固めるために嘘をついた、という話。 法律どうこうというまえに常識で考えれば結論はわかりそうなものであるが……*2。 まず…

ウォルター・ブロック(訳:橘玲)『不道徳な経済学 転売屋は社会に役立つ』(2020年、早川書房)

2021年20冊目。 出版社による本書の紹介は以下の通りである。 売春婦、シャブ中、恐喝者はヒーローだ!!不道徳なものはすべて正しい! これからの「正義」の話をリバタリアン(自由原理主義者)がしよう。 そして、本書には次のような「ショック療法」の効果があ…

東川篤哉『謎解きはディナーの後で』(2012年、小学館文庫)

2021年19冊目。 ドラマ化もされたヒット作。 売れてる本はなぜか買いたくない天邪鬼でここまで読まなかったが、かなり良質な犯人当て集。 各短編がコンパクトながらツボを抑えており、普段ミステリを読まない人でも読む価値あり。

東川篤哉『密室に向かって撃て!』(2007年、光文社文庫)

2021年18冊目。 これまで読んだ氏の作品のなかではイマイチな部類。面白かったんですけどね。

東川篤哉『密室の鍵貸します』(2006年、光文社文庫)

2021年17冊目。 東川篤哉デビュー作、3冊目。 デビュー作らしく(?)、「ミステリ論」的な話あり、なかなかも面白かった。

東川篤哉『もう誘拐なんてしない』(2010年、文春文庫)

2021年16冊目。いやぁ、面白い。この本が文庫化された10年前、なんで読まなかったんだろう。 ミステリから離れてしまっていたが、この10年で出た作品たちを読み漁ろう。

福岡伸一『生命海流 GALAPAGOS』(2021年、朝日出版社)

2021年、15冊目。 『生物と無生物の間』でヒットを飛ばした著者のガラパゴス諸島紀行文。 ガラパゴス諸島を巡りながら、高校の生物の知識も怪しい読者にもわかるようにガラパゴスにまつわるアレやコレやを解説してくれる。 人懐っこい動物たちに会いにガラパ…

無資格法務とインハウスの住み分け

少し前の話になるが、 「インハウスは専門家であり、無資格法務は部門全体のリーダー、マネージャーである」 「インハウスは新しい/難しい法的問題に取り組」む、「無資格法務は、経営の意思決定に関与し、部門の方向性を決め、リソースを効率的に活用(育成)…

東川篤哉『交換殺人には向かない夜』(2010年、光文社文庫)

2021年14冊目。 この著書の作品はずーっと気になるけど読んでないを(20年近く)続けてきたが、いよいよ読んでしまった。 なんとなく、メディアミックスしてる著者って手をつけにくくなりがちで…(この著書の場合は『謎解きはディナーのあとで』)。 読んでみる…

ミステリのルール、訴訟のルール

弁護士で作家の五十嵐律人氏が以下のインタビューでコメントされていました。 弁護士作家・五十嵐律人氏「ミステリーと法律論は似てますよね」|NEWSポストセブン 伏線や謎解きもなく真犯人が登場しても、読者は納得しないと思います。その結末に至るのにい…

田口俊樹『日々翻訳ざんげ エンタメ翻訳この四十年』(2020年、本の雑誌社)

2021年13冊目。 翻訳者のエッセイ。翻訳者の世界の一端を覗くとともに、一応「言葉」でメシを食べている者として勉強になる点、トリビア的な点もあり面白かった。 結構、法律書面のドラフトと共通するところがあるもんだ、と感じました。おすすめです。 特に…

契約審査業務は結局ヒトのもの

色々感じたところもあり、 どれだけ契約審査にAIが使われるようになろうとも、社内外の交渉は人がやるわけで、そういう意味で法務の仕事はなくならないだろうとは思ってる と呟いた。 法務の仕事、というのは契約審査業務を指しており、要するに契約周りの仕…

法月綸太郎『しらみつぶしの時計』(2013年、祥伝社文庫)

2021年、12冊め。 氏の短編集には信頼をおいているものの、今ひとつ。 雑多な印象を拭えなかった。 ベストは「ダブル・プレイ」

野村克也『野村ノート』(2009年、小学館)

2021年、11冊目。 今更ながら読みました。 結構、古風なところがあると思ったり、現代の仕事論に通じそうなところもあるなと思ったり。

倉知淳『作家の人たち』(2021年、幻冬舎文庫)

2021年10冊目。 全然本が読めてなかったなかで、作家の内輪本。 印税のリアルを描く「夢の印税生活」、出版不況の中て売り上げを伸ばすラノベ業界を皮肉った「らのべっ!」など、某業界の某系統の事務所への批判を見ているような……。 作家になっても会社員か…

向いていなければインハウスになればいい

今日のつぶやきからメモ。・たまーに「事務所が向いていなければインハウスになればいい」的な言説に触れるのだけれど、民間企業をセーフティネットか何かと勘違いするのはやめていただきたい。 ・というか、セーフティネットとして舐めきった態度でインハウ…

将棋のすすめ〜将棋と訴訟はだいたい同じ〜

緊急事態宣言下、ひと仕事終えたあとの高級レストランでのひとときもままならない各位。 将棋を始めてみるのはいかがでしょうか。今更将棋かよ…と思うなかれ。将棋は弁護士業に非常に近いのです。 1.将棋は訴訟とだいたい同じ あまり知られていませんが、将…

その回答、メールでするか?電話でするか?

1.はじめに簡単な質問をメールでもらったとします。メールの送り主は「一見さん」。どんな人なのかわかりません。とはいえ、メールに必要な事項は不足なく書かれており、追加の確認は不要そうです。 少し確認作業をしてさあ回答、ということになったときその…

法務の小技集

過去記事を整理しました。 適宜追加していきます。 第1 必要な資質のようなもの 法務に求められる「人当たり」 - インハウスな日々 第2 ちゃっちゃと仕事をするために 1.依頼が来る 2.事案の内容を把握する (1) ヒアリング (2) 方針を決定する (3) 依頼者の…

山里亮太『天才はあきらめた』(2018年、朝日新聞出版)

2021年9冊目。人気芸人、山里亮太の自叙伝。これを読んで、山里亮太が努力の人だとの感想を抱いた方がいるらしいが、とんでもない。 これだけのエネルギが体の内側から湧いてくることが凄い才能だと思う。芸人に興味がある方にはオススメ。

納期の伸ばし方

法務に限らず、仕事は納期に追われるもの。 かの、手塚治虫も「傑作は、締切から生まれる」という名言を残したとか。そして編集者からの催促攻めにあったとか。いやあ、納期ってほんといいもんですね*1。 冗談はさておき。仕事術的な本を読むと、必ずと言っ…

佐々木健一『雪ぐ人 えん罪弁護士 今村 核』(2018年、NHK出版)

2021年8冊目。 NHKで放送されたドキュメンタリーの書籍化。今村核弁護士への密着。 ドキュメンタリーも面白かったが、書籍も面白い。僕なんかが言うのはおこがましいけれど、刑事弁護に取り組む先生の凄さが伝わってくる内容なので、逆転裁判とか好きな人に…

佐藤 比呂志『巨大地震はなぜ連鎖するのか 活断層と日本列島 』(2016年、NHK出版新書)

2021年7冊目。 先日の地震を受けて。 2016年の熊本地震直後にかかれた本だが、とりあえず西日本も南海トラフ地震が起こるまで地震活動が活発化するとのことで。。 そんな日が来ないことを願いつつ、いつか来てしまうんだろうな

法務(インハウス)になる前に読んておきたかった本

インハウスとして働き始める前にこの本を読んでおきたかった…という本を2冊紹介します。1.大石哲之『コンサル一年目が学ぶこと』(2013年、ディスカバートゥエンティワン)コンサル〜とありますが、本書が目指しているのは社会人に求められる普遍的なスキル…

北折充隆『迷惑行為はなぜなくならないのか? 「迷惑学」から見た日本社会』(2013年、光文社新書)

2021年6冊目。 パウゼ先生の企画で紹介されていて気になった一冊。タイトルがキャッチーだったので、「よくあるテキトーな新書かも」と思いつつも読み始めた(失礼)が、期待は良い意味で裏切られた。様々な切り口で「迷惑」を取り扱っており、 ・正しいこと…

西澤保彦『ぬいぐるみ警部の帰還』(2013年、創元推理文庫)

2021年5冊目。 いつもの西澤作品。 西澤ファンでなければ読む必要はないかな〜という感じ。