2021年20冊目。
出版社による本書の紹介は以下の通りである。
売春婦、シャブ中、恐喝者はヒーローだ!!
不道徳なものはすべて正しい! これからの「正義」の話をリバタリアン(自由原理主義者)がしよう。
そして、本書には次のような「ショック療法」の効果があるという。
まず最初に、「こんなことはとうてい信じられない!」と反発する。次いで、「いくらなんでもぶっ飛びすぎたろう」と思う。そして最後には、「まいったな。あんたが正しいよ」と納得するのだ。(本書55頁。なお、これは著者ではなく推薦者である経済学者のコメントである。)
結論的には「まいったな。あんたが正しいよ。」と納得することはなかった。
全体的に、議論が雑なのである。論理の運びが雑なので、突っ込みを入れながら読み進めることになるが、その突っ込みへの回答は示されないまま結論が示される。
読者が抱く感想は「?」。
もし暇な法学部生がいれば、学問の自由に言及する箇所を読んでみてほしい。司法試験でなぜいわゆる人権パターンや「保証範囲→制約→正当化」の順に論じるべきとされるかがよくわかる。
リバタリアンの論理を突き詰めると結論的には本書で示されている内容になるのかもしれないが…もう少し丁寧な説明が欲しかった。
なお、本書は訳者の橘氏が超訳(あとがきに言及がある。)したものであり、原書自体は1976年に発表されたものだという。そのため、上記の問題点が著者の問題なのか翻訳の問題なのかはわからない。