修習後即インハウスの是非
昨日Twitter(@ahoaho1818)にて、修習後の進路として企業と法律事務所のどちらか迷っている人は、法律事務所へ就職すべきである旨のブログ記事を紹介したところ、様々な反応を得ました。
当該記事について色々思うところはあります*1が、修習後即インハウスの道に進んだものとして 、自分なりの考えを記しておきます*2。
1.結論
結論から申しますと、私はインハウスと法律事務所いずれがよいかは人による、と思っています*3。
そもそも、私はインハウスと法律事務所では求められるスキルがかなり異なると考えています。そのため、どのようなスキルを身に付けたいか(=将来的にどのような仕事をしたいか)による話であって、裁判官が良いか、弁護士が良いか、というレベルの話に近いのではないかと思っています。
2.どちらにも、そこでしか出来ない仕事がある
様々な企業の案件(それも法律事務所に相談に行くようなトラブル案件)に関わることができるのは、法律事務所だけです。
訴状をはじめとする書面や、対外向けの法律文書を作成することも、インハウスは行わないところが多いでしょう。
訴訟を担当するインハウスもいますが、体感では少数派であり、バリバリ訴訟がしたい(そのためのスキルを身に付けたい)のであれば法律事務所に行くべきだと思います。
一方で、インハウスに何を求めるかは企業によって異なると思いますが、「法的な意思決定をする」という点では共通していると思います。インハウスはあくまで会社の人間なので、どれほど未知の案件でも、何らかの意思決定をしなければなりません*4。
意思決定をするためのスキル(社内への落とし込み、社内の関係部署の調整、外部の法律事務所からの裏取りなどなど)が求められるのがインハウスで、当事者として仕事ができることが最大の魅力ではないでしょうか。
予防法務、戦略法務……など様々な言葉が飛び交いますが、結局は「当事者として法的問題に携わる」ことが企業内でしか出来ないことなのではないかと思っています。
予防法務といえば、修習生は「トラブルになっていない案件への対応なので楽」というイメージを持っているのではないか、と感じることがありました。しかし、紛争になっていない段階でどこまで限られたリソースを割いて対応しておくべきか考えるというのは、法的紛争への対応とは違う難しさがあるのではないでしょうか。
なお、最終的に事業部門が意思決定すべき事項なのか、法務部門が意思決定すべき事項なのかはケースバイケースですし、法務部門はアドバイスに終始するという企業もあるかもしれません*5。
3.私の場合
私も色々と悩みましたが、当事者として仕事ができること、予防法務に興味があったことから、インハウスの道を選びました。
入社前にインハウスとして活躍されている先輩に相談したところ「将来的にインハウスになるつもりがあるのなら、早く入った方がいい」とアドバイスをいただきましたが、その通りだと思います。
今のところ入社前に抱いていたイメージとのギャップもあまりなく、それなりに大変に、それなりに楽しく仕事をしています。
まとまりのない文章になってしまいましたが、とりあえずこの辺りで。