インハウスな日々

ある企業内弁護士の備忘録です

法務≒ゴールキーパー論

法務とゴールキーパーって似てないか?
ふとこう思ったので、気のむくままに適当に書いてみる。


サッカーを見ない人にはわかりにくいだろうけど、ゴールキーパーの役割はゴールポストの前でうろちょろすることではない。ゴールキーパーにできて他のプレイヤーにできないことがいくつかある。

まずは、手を使えること。サッカー手でボールを触れない競技で唯一手を使うことを許されたポジション、それがゴールキーパーである。ここは誰にでも明らかなところなので、深くは言及しない。

次に、ピッチの全体を見渡せること。キーパーは、ゴールマウスからピッチのすべてを見ることができる。そのため、フィールドのあらゆる場所に指示が出せる。ボールホルダーはボールと敵の位置、味方の位置を把握しないといけないから、どうしても死角が出てくる。テレビで試合を見てると「なんであいつにパスしないんだよ!」と思うこともあるだろうが、ピッチに立てばわかる。見れないのだ(だから、イニエスタなんかはめちゃくちゃ首振ってピッチで何が起きてるか確認してますよね)。
この点、ゴールキーパーは全ての様子が見渡せるから、味方の目となる働きができる。もちろん他の選手にもできるが、ゴールキーパーはポジションが端っこだからこれがやりやすい。特に攻め込まれてるとき。ゴールキーパーから見れば、どこをケアしなければいけないかすぐにわかる。味方を動かして穴を塞ぐことはゴールキーパーの最重要ミッションとさえいえる。かつて松永成立(元日本代表GK)は「良いゴールキーパーはファインセーブをしないゴールキーパー」といったそうだが、良いゴールキーパーは相手さえもコントロールしてリスクマネジメントするから、ビックプレーの必要がない、ということであろう。
とはいえ、実は最前線で何が起きてるかはよく見えないのだけど。遠いから。

最後に、ミスが命取りになること。フォワードはシュートを外してもマイナスはうまない。ディフェンダーだって、「失点につながるミス」はあっても「失点」はオウンゴールでもしない限り、しない。
しかし、ゴールキーパーはミスが失点に直結するポジションである。時には一点の価値が高いサッカーという競技において、致命的ですらある。だからこそ、セーフティなプレーが求められるのだ。


そして近年、ゴールキーパーの役割は変化してきている。戦術的な話をしても伝わらないだろうし、何より私が理解してないが、ゴールキーパーからも攻撃に繋がるパスを出せること(組立て、と呼んだりする)が求められるようになってきた。
お暇な方は世界的なキーパーの一人、ノイアー(ドイツ代表)のプレー集を見ていただきたい。完璧にリスクをマネジメントし、必要であれば多少のリスクを犯しても前線にパスを供給する。
これからは、守備一辺倒ではなく、これに加えて攻撃につなげるプレーができるキーパーが重宝されるでしょう。


ね。
法務に似ていると思いませんか?